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弘法 筆をえらばず

ジプシーギタリストとして有名なBireli Lagrene(ビレリ・ラグレーン)、
2014年にスペインのバルセロナで行われたジャンゴ・フェスティバルでの演奏動画です。
あまりにも衝撃的、感動したので紹介します。

彼はもともとジャンゴ・ラインハルトと同じく、フランスのジプシー(ロマ民族)の出身で、
ジプシー・スウィングの名手としてだけではなく80年代からはジャズやフュージョンの世界でも活躍したギタリストです。

伝統的なジプシー・スウィングのギターを弾けば、その貫禄の音色は血の香りがするというか、他のスウィング・ギタリストとは一線を画す存在です。
最近ではまたエレキギターやジャズギターに持ち替えて、ジャンゴの音色とは違うモダンなフュージョンサウンドをバンドで演奏していたりもしていました。

ジャンゴのようなマキャフェリ・ギターを持てばジプシー・スウィング、
エレキギターやジャズギターを持てば、ロックやジャズ、フュージョン、、
音楽のジャンルやスタイル、そのサウンドは、持ったそのギターの種類によって多分に左右されて、
ビレリ・ラグレーンは、手にしたギターの種類にあわせて巧みに音楽ジャンルを弾き分けている。
音楽ジャンルが違えば、そのジャンルに適したギターが必要不可欠。


。。と、僕はそう思っていました。


この動画で演奏している曲は、ジャンゴ・ラインハルトの名曲『Minor Swing』。
弾いているギターは、もちろんジプシー・スウィングのマヌーシュ・ギターと思いきや、ヤマハの最新のパシフィカ。エレキギターです。

けれど聴こえてくるのはまぎれもなくあのジプシーの音色。見ていてあまりにもミスマッチに映るくらい、ジャンゴのスケールを駆使してアドリブを取っています。

そしてエレキギターで弾いていることがフレーズを自由にさせるのか、ときおり『エリーゼのために』などなどのクラシックのフレーズ、
後半は『ピーター・ガン』風のフレーズやベンチャーズの『Wipe Out』、マイナー調だったテーマまで明るいメジャー調にして、ブルース風のリフからチャック・ベリーの『Johnny B Goode』まで、ギャグのようなパロディを次々繰り出して客席を爆笑に持っていきます。ラストはおそらくザ・フーのピート・タウンゼントの真似です。
(ついには天に向かって十字架を切って『ジャンゴさん、ふざけたことをお許し下さい』みたいな仕草までしています笑)

これを見て知ったのは、あたりまえですが音楽はギターからではなく『その人』から出てくるということ、
あたりまえですが音楽は『どんなギターで弾くか』ではなく『どんなフレーズを弾くか』ということ。

音がその人から出てくれば、手にするギターはあんまり関係ない。
ビレリ・ラグレーンはその意味で本当の『ギタリスト』だーと感動したわけです。
『守・破・離』をこえて今はすべてを行き来しながら音楽で遊んでいる、そんな姿にとっても憧れるわけです。


https://www.youtube.com/watch?v=PuQ32aLe2TY&list=RDPuQ32aLe2TY#t=2

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プロフィール

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男性
自己紹介:
ギタリストの田中彬博、及びアッキー。

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