ゲンリッヒ・ネイガウス著 『ピアノ演奏芸術 -ある教育者の手記- 』。
数年前に、フラワーアレンジメントの高田紀子さんに薦めてもらった本で、
20世紀ロシアの名ピアニストであり、モスクワ音楽院の名教授として活躍した
ゲンリッヒ・ネイガウスの、ピアノ音楽芸術を “学ぶ” ということについて書かれた本です。
尺八奏者の岸本寿男さんがアメリカで共演したピアニスト、ウォルト・ワグナーの演奏を聴いてから、
自分が越えられなかった“壁”を抜ける鍵が、ギター以外に“ピアノ”にもあるような確信がありました。
ふと、この本のことを思い出して読みなおしてみると(まだはじめの数ページですが)、
初めてこの本を手に取ったときにはわからなかったたくさんの感動がありました。
たった1ページに込められたエネルギーがありすぎて読み進めるのが大変な本ですが、
ようやくこの本を読み深められるタイミングが来て、ワクワクしています。
今日読んで感動した一節です。
(前略)―誰かが私に、それは才能の問題だ、ある者はできても別の者はできない、
これはそれでおしまい、それまでのことではないかと答えるだろうということはわかります。
しかし私は、教師であるかぎりは耳をふさいで、こうした声を聞かないようにしたいと思います。
<次元の低い真実の闇よりは、人を向上させる虚構のほうが、私には重要である>。―